
重度訪問介護とは

「重度訪問介護って、普通の訪問介護と何が違うの?」
「居宅介護を使っているけれど、重度訪問介護へ変更できる?」
「長時間の見守りや外出の支援もお願いできる?」
障害福祉サービスには、名前の似たサービスが多くあります。
その中でも「重度訪問介護」は、重い障がいがあり、日常生活の中で常に介護を必要とする方の地域生活を支える重要なサービスです。
結論からお伝えすると、重度訪問介護は、単に入浴や排せつなど一つの介助を行うサービスではありません。
身体介護・家事援助・外出時の移動介護・生活上の相談・見守りなどを、利用者さまの生活全体に合わせて総合的に提供する障害福祉サービスです。
この記事では、重度訪問介護の対象者、利用できるサービス、居宅介護との違い、利用開始までの流れ、料金、入院中の支援について、尼崎市武庫之荘の「ヘルパーステーションひまわりの約束」が分かりやすく解説します。
重度訪問介護とは?
重度訪問介護は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。
厚生労働省では、重度の肢体不自由、または重度の知的障がい・精神障がいによって行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする方に対し、自宅での身体介護や家事、生活全般の援助、外出時の移動中の介護などを総合的に行うサービスとしています。
さらに、日常生活の中で生じるさまざまな介護の必要性に対応するための見守りも支援に含まれています。
尼崎市も、重度訪問介護について、重度の肢体不自由者や行動障害などにより常に介護が必要な方に、自宅での入浴・排せつ・食事等の介助や外出時の移動支援を行うサービスと案内しています。
重度訪問介護で受けられる主な支援
重度訪問介護では、利用者さまの生活状況や支給決定の内容に応じて、さまざまな支援を組み合わせます。
身体介護
例えば、
- 食事介助
- 入浴介助
- 排せつ介助
- 更衣介助
- 移動・移乗介助
- 起床・就寝に関する支援
などです。
重い障がいがある方の場合、一つの行為だけではなく、生活のさまざまな場面で継続的な介助が必要になることがあります。
家事援助
- 調理
- 洗濯
- 掃除
- 日常生活に必要な家事
なども対象になります。
利用者さま本人の日常生活を維持するために必要な支援として行います。
見守り
重度訪問介護の大きな特徴の一つです。
例えば、常に身体を介助しているわけではなくても、
- 呼吸や体調の変化に注意する必要がある
- 姿勢が崩れた際にすぐ介助する必要がある
- 排せつや水分補給など、不定期に介助が必要になる
- 行動上の危険を避けるため見守りが必要
といった方がいます。
このように、必要なときにすぐ対応できるよう継続的に見守る支援も、重度訪問介護では重要な役割を持っています。
ただし、「見守りを希望すれば何時間でも自由に利用できる」というものではありません。必要な支援内容や時間は、本人の状態や生活状況などを踏まえて市町村が支給決定します。
外出時の移動も支援できます
重度訪問介護では、自宅の中だけでなく、外出時の移動中の介護もサービスに含まれています。
例えば、本人の生活上必要な外出について、
- 移動時の身体介助
- 車いすでの移動支援
- 外出中の排せつ介助
- 外出中の食事介助
- 安全確保のための見守り
などを行う場合があります。
ただし、利用できる外出の内容や範囲は、受給者証や支援計画、市町村の支給決定によって異なります。
「この外出は重度訪問介護で利用できるのか」と迷った場合は、相談支援専門員や市の担当窓口、利用する事業所へ事前に確認してください。
重度訪問介護を利用できる人は?
重度訪問介護は、障がいがあれば誰でも利用できるサービスではありません。
厚生労働省では、原則として障害支援区分4以上で、さらに次のいずれかに該当する方を対象としています。
1.重度の肢体不自由がある場合
次の両方に該当することが必要です。
- 二肢以上に麻痺等がある
- 「歩行」「移乗」「排尿」「排便」の認定調査項目すべてが「支援不要」以外と認定されている
2.知的障がい・精神障がいなどによる行動上の著しい困難がある場合
障害支援区分の認定調査にある行動関連項目等12項目の合計点が、10点以上であることが基準となっています。
つまり、単純に「障害支援区分4だから重度訪問介護が利用できる」というわけではありません。
障害支援区分に加えて、身体状況や行動障害に関する一定の要件を満たす必要があります。
障害支援区分とは?
障害支援区分とは、障がいのある方がどの程度の支援を必要としているかを示す区分です。
尼崎市では、障害福祉サービスを申請すると、現在の生活や障がいの状況について調査が行われます。
18歳以上で介護給付等を申請する場合は主治医意見書も必要となり、調査結果などをもとに審査・判定が行われ、障害支援区分が決定します。
区分だけでサービス内容が自動的に決まるわけではありません。
本人がどのような生活をしているか。
家族からどの程度の支援を受けているか。
どの時間帯に何の介助が必要か。
本人がどのような生活を希望しているか。
こうした状況を踏まえて、最終的なサービスの支給量が決まります。
居宅介護と重度訪問介護の違い
特に混同されやすいのが「居宅介護」と「重度訪問介護」です。
どちらも障害福祉サービスで、ヘルパーが自宅を訪問します。
しかし、対象者とサービスの考え方が異なります。
| 項目 | 居宅介護 | 重度訪問介護 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 障害支援区分1以上など | 原則区分4以上+一定要件 |
| 身体介護 | 〇 | 〇 |
| 家事援助 | 〇 | 〇 |
| 外出時の移動 | 通院等介助など | 生活全体に合わせた移動中介護 |
| 見守り | 支援内容による | 重要なサービス要素 |
| 支援の特徴 | 必要な介助・家事等を提供 | 生活全般を総合的に支援 |
厚生労働省では、居宅介護の基本的な対象を障害支援区分1以上とする一方、重度訪問介護は区分4以上かつ追加要件を満たす方としています。
重度訪問介護は、
「身体介護を1時間」
「家事援助を45分」
という個々の行為だけを見るというより、常時介護が必要な方の生活全体を総合的に支えることが大きな特徴です。
重度訪問介護は24時間利用できる?
「重度訪問介護なら24時間ヘルパーに来てもらえるのでしょうか?」
という質問もあります。
重度訪問介護は長時間・継続的な支援にも対応する制度ですが、利用者全員に自動的に24時間の支給が決定されるわけではありません。
必要な時間数は、
- 身体の状態
- 一日の生活
- 夜間に必要な介助
- 家族の介護状況
- 一人暮らしかどうか
- 医療的なケアの状況
- 社会参加の状況
などを踏まえて、市町村が個別に判断します。
そのため、必要な支援時間については、相談支援専門員と一緒に生活状況を整理し、尼崎市へ申請・相談することが重要です。
入院中も重度訪問介護を利用できることがあります
重度訪問介護の大きな特徴として、一定の要件を満たせば、病院などへ入院・入所した場合にも利用できる仕組みがあります。
厚生労働省では、病院等に入院・入所している重度訪問介護利用者に対し、意思疎通の支援などを行うことを重度訪問介護のサービス内容に含めています。
2024年度の障害福祉サービス報酬改定では、入院中の利用対象が拡大されました。
現在は、入院前から重度訪問介護を利用しており、特別なコミュニケーション支援を必要とする障害支援区分4・5・6の方が対象になり得ます。
例えば、
本人独自の意思表示を医療スタッフへ伝える。
普段のコミュニケーション方法を説明する。
障がい特性や介助方法について医療スタッフへ情報提供する。
といった支援が重要になります。
ただし、病院で看護師が行う医療・看護を、重度訪問介護のヘルパーが代わりに行う制度ではありません。
医療機関と重度訪問介護事業所が役割を分けながら連携して支援します。
重度訪問介護を利用するまでの流れ
尼崎市で重度訪問介護を利用したい場合は、まず市または相談支援事業者へ相談します。
尼崎市が案内している障害福祉サービス利用までの基本的な流れは次のとおりです。
1.相談
尼崎市や相談支援事業者へ、現在困っていることや希望する生活について相談します。
2.申請
重度訪問介護などの障害福祉サービスが必要な場合、尼崎市へ申請します。
3.調査・医師意見書
本人の生活状況、障がいの状態、必要な支援などについて調査が行われます。
18歳以上で介護給付等を申請する場合は、主治医意見書も必要です。
4.障害支援区分の審査・判定
調査結果や医師意見書などをもとに、障害支援区分が決定されます。
5.支給決定
障害支援区分だけではなく、本人の希望や家族の状況なども踏まえて、利用できるサービスや支給量が決められます。
6.受給者証の交付
支給内容が決定すると、障害福祉サービス受給者証が交付されます。
7.事業所と契約
重度訪問介護を提供している事業所を選び、契約・支援内容の確認を行います。
8.サービス開始
支援計画に基づき、重度訪問介護を開始します。
重度訪問介護の料金はいくら?
障害福祉サービスの利用者負担は、原則としてサービス費用の1割相当です。
ただし、介護保険のように単純に毎回1割を支払い続けるのではなく、所得に応じて1か月の利用者負担上限額が設定されています。
尼崎市では2026年7月1日時点で、18歳以上の障がい者が居宅で生活する場合、主に次のような負担上限が案内されています。
| 所得区分 | 月額負担上限の例 |
|---|---|
| 生活保護 | 0円 |
| 市町村民税非課税 | 0円 |
| 一定所得以下の課税世帯 | 9,300円 |
| それ以外の課税世帯 | 37,200円 |
実際の自己負担額は、本人・配偶者の所得状況や利用するサービスなどによって異なります。
利用前に、受給者証の負担上限月額を確認してください。
65歳になると重度訪問介護は使えなくなる?
障害福祉サービスを利用している方にとって、65歳は大きな不安になりやすい年齢です。
介護保険に相当するサービスが利用できる場合は介護保険との調整が行われますが、
65歳になったからといって、すべての障害福祉サービスが一律に利用できなくなるわけではありません。
本人が必要とする具体的な支援内容を介護保険で受けられるかどうかなど、個別の状況を確認する必要があります。
重度訪問介護を利用している方が65歳を迎える場合は、直前になってからではなく、相談支援専門員や尼崎市、必要に応じてケアマネジャーなどと早めに相談してください。
よくある質問
障害支援区分4なら必ず重度訪問介護を利用できますか?
いいえ。
障害支援区分4以上であることに加え、二肢以上の麻痺など一定の身体状況、または行動関連項目の点数など、追加の要件があります。
家族と同居していても利用できますか?
家族と同居しているという理由だけで利用できないと一律に決まるものではありません。
本人が必要とする介護、家族の状況、生活環境などを確認したうえで、市町村が支給量を判断します。
一人暮らしでも利用できますか?
対象要件を満たし、必要性が認められれば利用できます。
一人暮らしの場合は、日中・夜間を含め、どの時間帯にどのような介助や見守りが必要なのかを具体的に整理することが重要です。
重度訪問介護で外出できますか?
外出時の移動中の介護もサービス内容に含まれています。
ただし、実際に利用できる外出内容や時間については、支給決定や支援計画に基づいて確認する必要があります。
居宅介護から重度訪問介護へ変更できますか?
本人の状態が重度訪問介護の対象要件に該当し、市町村から支給決定を受ければ利用できる可能性があります。
現在居宅介護を利用している方は、まず相談支援専門員や尼崎市へ相談してください。
入院してもヘルパーに来てもらえますか?
入院前から重度訪問介護を利用しており、特別なコミュニケーション支援が必要な区分4以上の方などは、一定の要件のもと入院中にも意思疎通等の支援を利用できる場合があります。
私たちが大切にしていること
重度訪問介護は、
「食事介助をする」
「排せつ介助をする」
「掃除をする」
という一つひとつの仕事だけではありません。
その人の一日の生活そのものを支える仕事です。
いつ起きるのか。
どのように食事をするのか。
どのタイミングで介助が必要なのか。
どんなときに見守りが必要なのか。
外出したい場所はどこなのか。
家でどのように過ごしたいのか。
支援する側の都合だけではなく、本人がどのような生活をしたいのかを考えることが大切です。
重い障がいがあるからといって、
「できないこと」だけを見るのではなく、
必要な支援があれば、
どこで暮らしたいのか。
何をしたいのか。
どんな人生を送りたいのか。
そこまで考えることが、重度訪問介護の大切な役割だと私たちは考えています。
尼崎市で重度訪問介護をお探しの方へ
ヘルパーステーションひまわりの約束は、尼崎市武庫之荘を拠点に、
- 訪問介護
- 居宅介護
- 重度訪問介護
- 同行援護
- 移動支援
- 介護保険外・自費サービス
を提供しています。
「重度訪問介護の対象になるか分からない」
「現在は居宅介護を利用している」
「長時間の支援が必要になってきた」
「一人暮らしを考えている」
「入院中の支援について知りたい」
「相談支援専門員が決まっていない」
そのような段階でもご相談ください。
制度の名前から考えるのではなく、
まず、今どのような生活をしているのか。
何に困っているのか。
これからどのような生活をしたいのか。
そこから一緒に整理していきます。
重度の障がいがあっても、住み慣れた地域で、その方らしい生活を続けるために。
必要な支援を一緒に考えていきます。
執筆者情報
執筆者:夏梅 勇太
株式会社ケアエンリッチメント代表取締役
ヘルパーステーションひまわりの約束 管理者
介護福祉士
兵庫県尼崎市で訪問介護・障がい福祉サービス事業を運営。介護保険の訪問介護、障害福祉の居宅介護・重度訪問介護・同行援護・移動支援などの事業運営、人材採用・育成に携わっています。
最終確認日:2026年9月5日
※重度訪問介護の対象可否、支給時間、利用できる支援内容、利用者負担等は、障害支援区分、認定調査結果、本人の生活状況、家族状況、市町村の支給決定などによって異なります。実際の利用については尼崎市、相談支援専門員、利用予定の事業所等へご確認ください。
