
居宅介護と訪問介護の違い

「居宅介護と訪問介護って、何が違うの?」
「どちらもヘルパーさんが家に来てくれるサービスじゃないの?」
「障がいがある場合は、訪問介護ではなく居宅介護を利用するの?」
名前もサービス内容も似ているため、初めて制度を利用する方にとって非常に分かりにくいのが「居宅介護」と「訪問介護」です。
実際、どちらもホームヘルパーなどが利用者さまの自宅を訪問し、入浴・排せつ・食事・掃除・洗濯・調理など、日常生活に必要な支援を行います。
しかし、大きな違いがあります。
訪問介護は、主に介護保険制度のサービス。
居宅介護は、障害福祉制度のサービスです。
つまり、似た支援を行っていても、
- 利用する制度
- 対象となる方
- 申請方法
- 支援計画
- 利用者負担
- 支給されるサービス量
などが異なります。
この記事では、居宅介護と訪問介護の違いについて、尼崎市武庫之荘で介護保険の訪問介護と障害福祉の居宅介護の両方を提供している「ヘルパーステーションひまわりの約束」が、分かりやすく解説します。ひまわりの約束は、訪問介護に加え、居宅介護・重度訪問介護・同行援護・移動支援などを提供しています。
居宅介護と訪問介護の違いを簡単に比較
まずは大きな違いを表で確認してみましょう。
| 項目 | 訪問介護 | 居宅介護 |
|---|---|---|
| 制度 | 介護保険制度 | 障害福祉制度 |
| 主な対象 | 要介護認定を受けた高齢者等 | 障がいのある方・障がい児 |
| 主な認定 | 要介護認定 | 障害支援区分等 |
| 主な相談先 | ケアマネジャー、地域包括支援センター | 障害福祉担当窓口、相談支援事業者 |
| 支援 | 身体介護・生活援助など | 身体介護・家事援助・通院等介助など |
| 計画 | ケアプラン・訪問介護計画 | サービス等利用計画等 |
| 費用 | 原則1~3割負担 | 原則1割負担、所得別の月額上限あり |
内容だけを見ると非常によく似ています。
では、それぞれ詳しく見ていきます。
訪問介護とは?
訪問介護は、介護保険制度に基づく在宅介護サービスです。
ホームヘルパーが利用者さまの自宅を訪問し、身体介護や生活援助などを行います。
主な身体介護には、
- 入浴介助
- 排せつ介助
- 食事介助
- 更衣介助
- 移動・移乗介助
- 起床・就寝介助
- 通院・外出に関する介助
などがあります。
生活援助には、
- 掃除
- 洗濯
- 調理
- 買い物
- ベッドメイク
- 衣類の整理
などがあります。
厚生労働省も、訪問介護について、ホームヘルパーが利用者宅を訪問し、身体介護や掃除・洗濯・食事準備などの日常生活支援を行うサービスとして整理しています。
訪問介護を利用するのはどんな人?
介護保険の訪問介護を利用する場合、基本的には要介護認定を受け、ケアプランに訪問介護が必要なサービスとして位置づけられる必要があります。
尼崎市でも、要介護・要支援認定を受けた後、本人の状態に応じたケアプランを作成し、介護サービスを利用する流れとなっています。
要介護1~5の方は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへケアプラン作成を依頼するのが一般的です。
要支援の方の場合は、地域包括支援センターなどを中心に、介護予防や尼崎市の総合事業による訪問型サービスを利用する場合があります。
居宅介護とは?
居宅介護は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスです。
「ホームヘルプ」と呼ばれることもあります。
厚生労働省は、居宅介護について、
利用者の居宅で、
- 入浴
- 排せつ
- 食事などの介護
- 調理
- 洗濯
- 掃除などの家事
- 生活に関する相談・助言
- その他生活全般にわたる援助
を行うサービスとしています。
つまり、サービス内容だけを見ると訪問介護と非常によく似ています。
大きく違うのは、介護保険ではなく障害福祉制度を利用することです。
居宅介護を利用できる人は?
厚生労働省では、居宅介護の対象者を原則として「障害支援区分1以上」としています。障がい児については、それに相当する支援の程度があることが基準になります。
ただし、通院等介助で身体介護を伴う場合などは、障害支援区分や認定調査項目について追加の要件があります。
実際に利用できるサービス内容や支給時間は、
- 障がいの状態
- 日常生活で必要な介助
- 家族の状況
- 本人の希望
- 障害支援区分
- サービス等利用計画
などを踏まえ、市町村が個別に支給決定します。
尼崎市でも、相談、申請、調査、障害支援区分の判定、支給決定、受給者証の交付、事業所との契約という流れで障害福祉サービスを利用します。
居宅介護ではどんなことを頼める?
居宅介護では、大きく分けると次のような支援があります。
身体介護
- 入浴介助
- 排せつ介助
- 食事介助
- 更衣
- 移動・移乗など
本人の身体に直接関わる支援です。
家事援助
- 掃除
- 洗濯
- 調理
- 買い物など
本人の日常生活に必要な家事を支援します。
通院等介助
病院への通院や官公署などで必要な手続きを行うための移動について、必要な支援を行う仕組みがあります。居宅介護の通院等介助については、厚生労働省から対象範囲に関する通知も示されています。
ただし、希望することがすべて障害福祉サービスの対象になるわけではありません。
本人の状態や支給決定内容、サービス等利用計画などに基づいて支援します。
一番大きな違いは「高齢者か障がい者か」だけではない
ここは特に大切です。
「高齢者なら訪問介護」
「障がい者なら居宅介護」
と単純に分けられるわけではありません。
障がいのある方が年齢を重ね、介護保険を利用できる年齢になる場合があります。
反対に、高齢者であっても障害福祉制度との関係を確認する必要があるケースがあります。
そのため、制度だけでなく、本人がどのような支援を必要としているのかを見る必要があります。
65歳になると必ず居宅介護から訪問介護に変わる?
障害福祉サービスを利用している方から、非常によく聞かれる質問です。
原則として、介護保険に相当するサービスがあり、その介護保険サービスを利用できる場合には、介護保険給付との調整が行われます。
しかし、
「65歳になったら一律に障害福祉サービスが使えなくなり、すべて介護保険へ変更される」わけではありません。
厚生労働省も、障害福祉サービスと介護保険の関係について、一律に介護保険サービスを優先させるのではなく、本人が必要としている具体的な支援内容を聞き取り、介護保険サービスで必要な支援を受けられるかを個別に判断する必要があると示しています。
また、介護保険サービスと障害福祉サービスを組み合わせて利用できる場合もあり、厚生労働省は65歳到達前から制度移行について適切に案内するよう自治体へ示しています。
したがって、
65歳になった=必ず今までのヘルパーが使えなくなる
と考える必要はありません。
現在利用している相談支援専門員、市町村の障害福祉担当窓口、ケアマネジャーなどと早めに相談することが大切です。
「居宅介護」と「居宅介護支援」は別のサービスです
名前が非常に似ているので注意してください。
居宅介護
は、障害福祉制度のホームヘルプサービスです。
一方、
居宅介護支援
は、介護保険制度でケアマネジャーがケアプランを作成したり、介護事業所との連絡・調整を行ったりするサービスです。
「居宅介護支援事業所」は、ヘルパーが掃除や入浴介助へ行く事業所ではなく、基本的にはケアマネジャーが在籍している事業所です。
尼崎市でも、介護保険のケアプランに関する相談窓口や、介護保険サービス利用までの流れを案内しています。
ここは非常に間違えやすいポイントです。
相談する専門職も違います
訪問介護の場合
中心になるのは、
ケアマネジャー
です。
本人や家族の希望を確認しながらケアプランを作成し、訪問介護、デイサービス、福祉用具、訪問看護などの介護サービスを調整します。
居宅介護の場合
障害福祉サービスでは、
相談支援専門員
などがサービス等利用計画を作成し、必要な障害福祉サービスについて相談・調整する場合があります。
尼崎市では、まず市または相談支援事業者へ相談し、必要な場合に障害福祉サービスを申請する流れを案内しています。
どちらへ相談すればいいか分からない場合は、最初から自分で制度を判断する必要はありません。
現在困っていることを伝え、適切な窓口につないでもらうことが大切です。
費用の仕組みも違う
訪問介護と居宅介護では、利用者負担の仕組みも違います。
訪問介護
介護保険サービスは、所得等に応じて原則1割・2割・3割の自己負担となります。
居宅介護
障害福祉サービスの場合、原則としてサービス費用の1割相当を負担しますが、所得に応じた月額負担上限が設定されています。
厚生労働省では、障害福祉サービスについて、生活保護・市町村民税非課税世帯は負担上限0円、所得区分に応じて9,300円や37,200円などの月額上限を設けています。
尼崎市も、障害福祉サービス利用時は原則1割相当を負担しつつ、所得に応じた上限や各種負担軽減制度があることを案内しています。
そのため、
「ヘルパーを1時間利用したから必ず○○円」
という単純な比較はできません。
制度、サービス内容、支給量、所得、加算などによって変わります。
居宅介護と訪問介護の両方を提供する事業所もある
訪問介護事業所と居宅介護事業所は制度上は別の指定ですが、同じ事業所が両方の指定を受けてサービスを提供している場合があります。
厚生労働省も、高齢者と障がい者の双方へ同一事業所がサービスを提供しやすくする「共生型サービス」の制度を設けています。
ヘルパーステーションひまわりの約束でも、
介護保険事業として、
訪問介護
障害福祉事業として、
居宅介護・重度訪問介護・同行援護・移動支援
を提供しています。
そのため、
「介護保険なのか障害福祉なのか分からない」
という段階でもご相談いただけます。
居宅介護と重度訪問介護の違いは?
障害福祉サービスには、「居宅介護」とよく似た名称で「重度訪問介護」もあります。
居宅介護は、必要な時間帯に身体介護や家事援助などを行うサービスです。
一方、重度訪問介護は、重度の肢体不自由や重度の知的障がい・精神障がいなどにより常時介護が必要な方に対し、身体介護、家事援助、見守り、外出時の移動中の介護などを総合的に行うサービスです。
厚生労働省では、重度訪問介護の対象について原則として障害支援区分4以上で、さらに一定の状態要件を満たす方としています。
居宅介護と重度訪問介護のどちらを利用するかは、単純に希望だけで決まるものではなく、本人の状態や障害支援区分、支援内容などによって判断されます。
利用開始までの流れも違う
訪問介護
一般的には、
- 介護について相談
- 要介護・要支援認定
- ケアマネジャー等へ相談
- ケアプラン作成
- 訪問介護事業所を選ぶ
- 契約
- 訪問介護計画作成
- 利用開始
という流れです。尼崎市もこの基本的な流れを案内しています。
居宅介護
尼崎市では、
- 市または相談支援事業者へ相談
- 障害福祉サービスを申請
- 調査・アセスメント
- 必要に応じて医師意見書
- 障害支援区分の審査・判定
- 支給決定・受給者証交付
- 事業所と契約
- サービス開始
という流れになっています。
制度が違うため、必要となる手続きも違います。
どちらを利用するか分からない場合はどうする?
利用者さまやご家族が、自分で制度を完璧に理解してから相談する必要はありません。
例えば、
「身体障害者手帳を持っているが、何を利用できるか分からない」
「親が65歳になった」
「今まで障害福祉サービスを使っていた」
「介護保険も申請するように言われた」
「相談支援専門員とケアマネジャーの違いが分からない」
そのような場合は、現在の状況をそのまま相談してください。
制度を選ぶことが目的ではありません。
大切なのは、
本人が自宅でどのような生活を送りたいのか。
そのために、どのような支援が必要なのか。
だと思います。
私たちが大切にしていること
介護保険。
障害福祉。
訪問介護。
居宅介護。
重度訪問介護。
制度には、たくさんの名前があります。
支援する側にとっては当たり前の言葉でも、初めて利用する本人や家族にとっては、分からなくて当然です。
「それは介護保険です」
「それは障害福祉です」
と説明されても、
本人が知りたいのは制度の名前ではなく、
自分は困っていることを手伝ってもらえるのか。
そこだと思います。
だからこそ私たちは、まず何に困っているのかを聞くことを大切にしています。
どの制度を使えるのか。
誰へ相談するのか。
どのようなサービスが必要なのか。
介護保険だけで足りるのか。
障害福祉サービスとの関係を確認する必要があるのか。
一つずつ整理します。
制度を先に考えるのではなく、
その人の生活を先に考える。
そのうえで、使える制度を正しく使う。
それが大切だと考えています。
よくある質問
居宅介護と訪問介護は同じヘルパーが来ることがありますか?
同じ事業所が介護保険の訪問介護と障害福祉の居宅介護の両方の指定を受けている場合、同じ事業所のスタッフが対応することはあります。
ただし、契約や計画、請求する制度はそれぞれ異なります。
65歳になると居宅介護は必ず使えなくなりますか?
一律に使えなくなるわけではありません。
介護保険に相当するサービスが利用できる場合は介護保険との調整が行われますが、本人が必要としている支援を介護保険で受けられるかを個別に判断する必要があります。
障害者手帳があれば居宅介護を利用できますか?
手帳を持っているだけで自動的に居宅介護を利用できるわけではありません。
申請後、本人の障がいや生活状況などを確認し、市町村による支給決定を受ける必要があります。尼崎市では、調査・障害支援区分の判定などを経て受給者証が交付されます。
居宅介護で掃除や料理を頼めますか?
本人の日常生活に必要な家事援助として、調理・洗濯・掃除などが居宅介護のサービス内容に含まれます。
ただし、具体的にどこまで利用できるかは支給決定やサービス内容によって異なります。
訪問介護と居宅介護は料金が同じですか?
同じではありません。
訪問介護は介護保険制度、居宅介護は障害福祉制度で、それぞれ報酬体系や利用者負担の仕組みが異なります。障害福祉サービスでは原則1割負担ですが、所得に応じた月額負担上限があります。
ケアマネジャーと相談支援専門員のどちらへ相談すればいいですか?
介護保険を利用する場合はケアマネジャー、障害福祉サービスを利用する場合は相談支援事業者などが主な相談先になります。
どちらか分からない場合は、尼崎市の担当窓口や現在利用している事業所へ相談してください。
尼崎市で居宅介護・訪問介護をお探しの方へ
ヘルパーステーションひまわりの約束は、尼崎市武庫之荘を拠点に、
介護保険の訪問介護
と、
障害福祉の居宅介護・重度訪問介護・同行援護・移動支援
を提供しています。
「自分は居宅介護と訪問介護のどちらになる?」
「障がいがあり、65歳になるので制度が変わると言われた」
「相談支援専門員もケアマネジャーも決まっていない」
「家族だけでの支援が難しい」
「まずどこへ相談すればいいか分からない」
そのような段階でもご相談ください。
制度は違っても、目指すものは同じだと思っています。
住み慣れた自宅で。
その方らしい生活を続けること。
そのために必要な支援を、一緒に考えていきます。
執筆者情報
執筆者:夏梅 勇太
株式会社ケアエンリッチメント代表取締役
ヘルパーステーションひまわりの約束 管理者
介護福祉士
兵庫県尼崎市で訪問介護・障がい福祉サービス事業を運営。介護保険の訪問介護、障害福祉サービスの居宅介護・重度訪問介護・同行援護等の事業運営、人材採用・育成に携わっています。
最終確認日:2026年8月11日
※介護保険と障害福祉サービスの適用関係、支給内容、利用者負担等は、年齢、心身の状態、障害支援区分、要介護認定、本人が必要とする具体的な支援、市町村の支給決定等によって異なります。実際の利用については、尼崎市、担当ケアマネジャー、相談支援専門員、利用予定の事業所等へご確認ください。
